Saturday, April 07, 2007

任地のHIV/AIDS事情




毎月、当配属先ではその月に特別に取り組むテーマがあります。先月はHIV/AIDSとデング熱。デング熱は、2月にNGOで働くアメリカ人友人や同じオフィスを共有している同僚が罹ったり、以前自分もインドで罹ったことがあるので非常に身近。HIV/AIDSに関しては、知識もほとんどなかったし、実際にHIVと共に生きる人々と自分が知っている限りでは直接触れ合ったことがなかったので不必要に恐れていた。

2月、売春婦を対象としたワークショップを配属先とHIV/AIDSに取り組むサンタクルス市内のNGOと共催。40人ほどのセクシャルワーカーが参加し、今年2度目の血液検査で新たに4人がHIVに感染していることがわかった。任地サンタクルス県はボリビア全体でHIV感染者割合が55%、AIDS患者は51%。また、私が活動するモンテロ市は全国で第2番目に患者数が多い市。また、感染の割合も想像通り上り坂。

サンタクルス県がこんなに他県と状況が異なるのは、そのオープンな文化と交通の状況にあると言われている。性行為の際にコンドームを使用しない文化。(男性「したくない。」女性「必要性は分かっているが仕方ない。」男女「皆どうせしないじゃん。」)複数の人と付き合う、つまり性行為をもつことが誇らしいと思っている文化。過去南米最大のHIV/AIDS患者を出したブラジルの国境と近い。ブラジルーアルゼンチン間をサンタクルス県を通過して農業製品の輸出入のために物と人が絶え間なく移動する状況。当NGOによれば、対策がなされずにこのまま行くと、15年以内にはアフリカと同じように感染率が高いレッド地帯に達するとのこと。

現在、配属先の同僚と予防のためのプロジェクトを行ないたいと考えているところ。とりあえず、そのために昨晩、調査ということでHIV/AIDSに取り組むNGOを尋ねてきた。患者やスタッフを含めた定例会合に参加し、ついでにHIVと共に生きる子供達と折り紙を折ってきた。当NGOは、ボリビア国で初めてHIV/AIDSに取り組む組織として正式に認められた団体。1990年代後半、当時路上で議論をし合ってた団体発起人達役15名はほとんど既に亡くなられている。生き残っているうちの一人が現在代表を務めていた。第一印象は、頭の回転が速く、ポジティブな人生観をもち、その笑顔が見惚れるほど綺麗だったこと。彼自身、公衆衛生の修士号をもち、欧米のNGOやUNAIDSなどの国際機関から資金をもらって組織を運営している。

スタッフは、事務、教育者(ワークショップのファシリテーター)、精神分析医、学生(ボランティア)などから構成されている。スタッフ、患者を含めて、体全身から漲る温かいポジティブなエネルギーを感じた。一つの出会い、一瞬のおしゃべり、一回のスマイル、一度の挨拶と抱擁とキス、一言一言を大事にしている人たち。不安、恐れ、苛立ち、絶望、失望、悲哀、卑下、恨み辛みの一つも感じられなかった。ボリビアに来て1年4ヶ月。今まで出会った人、これから会うであろう人々の中で、私の人生観により大きな影響を及ぼす予感がする人たちとの出会いになった。

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