El Cálculo de los costos
地域のリソース探しをしている中で、自分が願うレベルの技術を持った人間にめぐり会うこと、同時に、ほぼボランティア(無償)で私の活動のお手伝いを受け入れてもらうことは簡単ではないと感じるところがあります。
本当は、語学レベル、地域の特質に疎いっていう外部者という側面、専門的スキルの欠如(実は、たいした専門性ってのはいらない場合が多いですが。)ってのを考慮すると奨励されるべきではないのだけれど、当面、グループ内では私がキャパシティー・ビルディングの講師を務めています。有難いことに、学生時代に私が組織した開発教育を提供する団体 (学生開発教育団体 Will Be)で学んだワークショップ教材開発やファシリテーターとしての姿勢などがここで活きています。
先日、原価計算のワークショップを約40分行いました。お母さんが作った織物一つを例にとって練習。「これが15Bs(ボリビアーノ。1Bs=15円)だったら、いくらが利益でしょう。」という質問に対して、一瞬全員沈黙。次の瞬間に「マテリアルの額による」、「マテリアルの重さによる」、「1kgが***Bsだから、これが250gなので。。。」なんてすばやく計算を始める。それでも、マテリアル以外のコストを思いついた人はいなかった。
ワークショップを準備している段階では、減価償却の計算練習までお母さんたちのアテンションががどれだけもつかと正直なところ至極心配だった。しかし、「私たちが一日に一枚ずつこの織物を作ったら、月にこれだけ儲けるよね。」ってのを皆で最後に共有するところまで、あーでもないこーでもないと声を張り上げながら皆が参加するくらい原価計算に興味をもってもらった模様。「とにかく今日学んでほしかったことは、われわれの利益ってのは、お客さんから得た額からマテリアル代を差し引いた額のみではなくて、交通費、市場加盟費、講師代などのその他のコストと、減価償却分を加味した道具代などのコスト全てを差し引いた額なんだってのを理解することだよ。」って締めくくったところまではよかった。
この過程で、ノートをとっていた人は参加者10人中2人だけ。女性グループの代表と秘書のみ。しかも、自ら書き写そうという姿勢をひとつも見せずにコピーを私にせがむ人がいる。紙や鉛筆は私が持っていたのでもし持参していないのであれば、頼めたかもしれない。彼女は私がコピーを断ると、執拗にせがみだし、終いには「このグループには経済的援助が必要だ」と叫びだす。それに対して、「経済的な援助だけではなく、キャパシティービルディングも大事」と私が強く訴えるとやっと黙った。
この彼女は、ボリビア首都ラパスの出身でスペイン語、ボリビア原住民の言語であるアイマラ語、ケチュア語を流暢に話すトリリンガル。彼女は口癖のように「ラパスでは、他国NGOや政府からの支援がたくさんあってさ、無料でこんなワークショップや機材がもらえたんだよ。なのに、ここにきたら、何もないよ。経済的に発展したサンタクルスの影に私たちのような貧乏人の存在は覆い隠され忘れられてしまったようだよ。」を呪文のように唱え続ける。今回もこの魔女からのこの呪文を浴びせられた。他のメンバーもこれにはうっとうしいと思うのか、私を見つめながら「困ったねー」という表情。
悲しいかな、「与えられることが当然だ」、「自分は貧乏で苦しんでいる」って思いこんでいる人間がこの地域には多い気がする。他の隊員からもそんな話をよく耳にする。近隣の先輩隊員の言葉をここで無断に借りると「彼らが病んでいるのは経済的側面じゃない。お金がなくって食べれなくって死ぬ人はこの国にはいない。どこが貧困って、彼らの心だよ。」全く持ってそのとおり。国際協力は、よく日本では絵に描いたような涙の物語が付物だったりするけれど、本当はドロドロのヤクザな世界。私はこの世界で本当に自分がやりたいことを見出せるんだろうか。
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