Thursday, May 17, 2007

糖尿病研修会


郡内の診療所36箇所の代表医療従事者を対象とした糖尿病研修会がここ1ヶ月間開催されました。主催は、WHO(世界保健機構)と県で。"日本病院"という名前のボリビア最大の3次病院から糖尿病専門女医が3名来て、4つのモジュールに沿って説明していった。週に一度のコースで、内容は、理論、診断、教育法、処方、アウトコントロール、栄養など。時間はみっちり丸一日かける。実際に町に住む患者を招待し、血液や尿の検査を行ったり、教育を施したり、カードを使ってゲーム感覚で栄養について学んだり、実際に自分にインシュリンの注射(もちろん、インシュリン注入まではしないで、針をさすだけ)を経験したり、盛りだくさんの研修になった。

糖尿病っていう生活習慣病は日本でもよく聞くし身近な気がしていたが、ひどく危険な病気。心筋梗塞、皮膚、神経、目の網膜などの病気、足の骨の歪曲化、その他感染症など、放っておくと結構恐ろしい。糖尿病患者をケアする、症状をコントロールする方法は、以前までは一人の医師によって処方され、その指示に患者が従うのみであった。現在は、継続的なグループケアと教育が主。医者、エクササイズ指導者、栄養士、心理士と、そして患者。一同が各患者の目標に沿って、その人のペースに合わせた治療方法を考案し実施する。

糖尿病、特に4種類の中でも南米で患者数が最も多いタイプ2(スペイン語と英語では、こう。日本語では知りません。)と呼ばれる糖尿病は、その80%が肥満。やせるための食事の減量と週3回の運動、日々のアウトコントロール、インシュリン注入、飲み薬など強い意志がないと持続するのは不可能。何年たっても変わらない。実際に、糖尿病と診断されて10年たっているが、いまだにコントロールしているなんていう患者は少なくない。ボリビア国の物価からいって、月々かかる数百ドルにもなる治療代を払える人はほとんどおらず、途中で投げ出してあきらめる人がほとんど。

現在、任地であるサンタクルス県内人口の30%が肥満。22%が糖尿病。この数値は、15年後には2倍以上になるとWHOは予測している。南米だけではなく、アフリカ、アジア(インド、中国など)も2倍上昇。途上国の場合、非衛生的な環境と、貧困、バランスの悪い栄養、情報や教育の欠乏などから、糖尿病や肥満といった病気も重病となってしまう。HIVエイズ、結核、マラリア、シャーガス病などといった国際的に注目を集めているローカル病を撲滅する必要もあるけれども、こういった生活に根付いてしまった慣習からくる病気は対応するのにもっと時を必要とするのかもしれない。

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